「機会損失」と「現場負担」を同時に解消する顧客接点のデジタル化事例とは
施設運営では、紙での案内や電話中心の予約対応が続くことで、来訪者が必要な情報にたどり着きにくくなったり、問い合わせ対応や受付業務が現場スタッフの負担になったりすることがあります。
株式会社BALANCeでは、こうした課題に対して、予約サイトの刷新やデジタルサイネージの活用を通じ、顧客接点のデジタル化を支援しました。
今回は、BALANCeが手がけた2つの事例をもとに、来訪者が自分で行動しやすい導線と、運営側が無理なく管理できる仕組みをどのように設計したのかをご紹介します。
顧客接点にアナログな運用が残っている場合に発生する課題とは
顧客接点にアナログな運用が残っていると、どのような課題が発生するのですか?
顧客との接点がデジタル化されておらず、アナログでの対応を前提としている場合、さまざまな課題が発生します。
今回の事例では、予約時に料金を把握しにくいことや、紙の案内だけでは施設内の情報を探しにくいことが課題になっていました。これらの課題によって、来訪者側と運営側の双方に負担が生じていました。
ひとつは来訪者側の負担です。
Webサイト上での予約や申し込みの導線がわかりにくいと、多くのページ遷移が必要になったり、次に何をすればよいか分からなくなったりすることで、予約完了前に離脱してしまう可能性があります。
施設であれば、紙の地図や掲示だけでは情報が埋もれ、目的の店舗やサービスを見つけにくくなることがあります。「結局スタッフに聞かないと分からない」状態は、来訪者にとってストレスになり、結果としてサービス利用の機会損失につながります。
もうひとつは運営側の負担です。
問い合わせ対応や案内業務、情報の差し替えなどをスタッフが個別に対応する必要があり、業務負担の増加や対応の属人化につながります。
紙の掲示物ではデザインの差し替えや印刷が都度発生し、更新のたびにコストがかかります。リアルタイムでの更新ができないため、イベントや営業案内のようなタイムリーな情報発信も難しくなるでしょう。
顧客接点の課題を放置すると、事業にどのような影響がありますか?
課題を放置すると、来訪者側では、予約・申し込み完了前の顧客離脱、施設内での回遊が発生しないことによる売上の減少につながる可能性があります。
運営側では、問い合わせ対応や案内、情報更新の作業が継続的に発生するため、本来は不要な問い合わせや案内対応に、人手を割き続けることになります。人手が限られている施設ほど、こうした対応が現場の負担になりやすく、本来注力したい接客やサービス改善に時間を割きにくくなります。
その結果、人件費の増加による利益率の低下や、人手不足によるサービス品質の低下につながる可能性があります。
事業運営を効率化する顧客接点のデジタル化事例とは
今回取り組んだ顧客接点のデジタル化について、概要を教えてください
今回は、宿泊施設の予約サイト刷新と、商業施設のデジタルサイネージ導入という2つの事例をご紹介します。いずれも、来訪者が必要な情報を自分で確認し、予約や施設内の移動をスムーズに進められるようにすることを目的とした取り組みです。

アルマガーデンドッグスは、山梨県北杜市・八ヶ岳エリアにある、愛犬と泊まれる一棟貸しの宿です。宿泊棟はコテージとログハウスの全2棟で、それぞれに専用の天然芝ドッグランが付いています。
1日1組限定でプライベートに過ごせる点が特徴で、オーナーシェフが地元食材を取り入れて手がけるフレンチも魅力のひとつです。こうした体験価値の高い宿泊サービスに対し、BALANCeは宿泊予約サイトのリニューアルを担当しました。予約サイトのCMSと予約機能の刷新も実施しています。

ショッピングや各種サービスなど、多岐にわたるテナントが入る大型商業施設に対し、フロアマップと連動した大型タッチパネル式のデジタルサイネージを制作しました。
従来は紙地図や掲示で施設案内を行っておりましたが、店舗検索・イベント情報・施設サービス案内をデジタルサイネージに一元化し、来訪者が自分で目的地や必要な情報にたどり着ける仕組みを整備しています。
視認性に配慮したUI設計と多言語対応を行い、訪問者の属性を問わず使いやすい情報ナビゲーションを実現しました。イベント情報や店舗検索、施設サービス案内も一元化し、運営側による即時更新も可能にしています。
デジタル化する前はどのような課題を抱えていたのですか?
それぞれの事例では、デジタル化する前は以下のような課題を抱えていました。
アルマガーデンドッグス
予約機能が分かりにくく、予約完了前の離脱につながりやすい状態でした。さらに、予約を検討している方が料金を事前に把握しにくいことも課題でした。
従来は、人数やペットの数を入力・送信してもらい、運営側がそれを受け取ってから費用を計算し、改めて連絡する、というやり取りが発生していたのです。予約を検討している方にとっては不便であり、運営担当者にとっては問い合わせ対応の負担が大きい状態でした。
商業施設
施設内の店舗数が多かったため、紙の地図や掲示だけでは情報が埋もれやすく、来訪者が目的地にたどり着きにくいことが課題でした。また、紙媒体はデザインの差し替え・印刷が都度必要で更新性が低く、イベントや営業案内をタイムリーに反映できないという、運用コスト面の課題も抱えていました。
それだけでなく、インバウンド対応の面でも、外国人来訪者に十分な施設案内を提供しにくいという課題がありました。
課題に対して、どのような解決方法を提案したのですか?
BALANCeでは、来訪者がスタッフに尋ねなくても目的を達成でき、運営側も情報を管理しやすい仕組みを提案・実装しました。
具体的な解決方法は以下の通りです。
アルマガーデンドッグス

CMSと予約機能を刷新し、予約完了までの流れを分かりやすく整理しました。操作しやすいUI・UXと、運営側が更新しやすい管理環境を同時に構築しました。
ポイントは、事前に費用を計算できる予約サイトにした点です。これにより、宿泊を検討している方はサイト上で料金を確認しながら予約まで完結でき、運営側が料金を計算して連絡するというやり取りを不要にしました。
商業施設

フロアマップと連動した大型タッチパネル式サイネージを提案し、店舗検索・イベント情報・施設サービス案内を一元化しました。来訪者自身が必要な情報を簡単に検索・確認できるよう設計しました。また、多言語表示によるインバウンド対応や店舗の入れ替えなどが発生した際にも、情報を速やかに更新できるよう設計しています。
それだけでなく、テナント向けの広告枠を設け、来訪者を各店舗へ誘導できる仕組みも整えています。BALANCeでは、システム開発から設営まで一気通貫で支援しています。
なぜその解決方法を採用したのですか?
来訪者と運用側の両方にとって、利便性向上と負担軽減につながると考え、これらの方法を採用しました。
どちらの事例にも共通しているのは、「アナログをそのままデジタルに置き換える」のではなく、来訪者が使いやすく、運営側も無理なく管理・更新できるように設計した点です。
アルマガーデンドッグスでは、単に予約フォームをWeb化するだけでは、「費用が分からず問い合わせが発生する」という根本的な課題は解決しません。そこで、予約を検討している方がサイト上で料金を確認し、そのまま予約まで完結できる導線にしました。同時に、運営側が情報を更新しやすい管理環境を備えることも重視しています。
商業施設では、案内をデジタル化するだけでなく、来訪者が自分で目的地までたどり着ける検索性が必要でした。さらに、運営側がリアルタイムに情報を更新できる仕組みや、インバウンド需要に応える多言語表示も求められていました。来場体験と運用の両面を改善できる方法として、大型サイネージを採用しました。
顧客接点をデジタル化することでどのような結果につながりましたか?
アルマガーデンドッグス
予約完了率が従来の約1.5倍に向上し、予約途中での離脱率は30%以上低下しました。
あわせて、費用計算と連絡のやり取りが減ったことで、管理コストの削減も実現しています。利用者がサイト上で料金を確認できるようになり、運営側の問い合わせ対応にかかる負担が軽くなっています。
商業施設
来訪者側では、施設全体の回遊率が向上し、目的地への誘導効率が改善しました。運営側では、即時更新が可能になったことで、紙媒体の運用にかかっていた更新作業や運用コストの削減にもつながりました。また、多言語対応により、外国人来訪者にも情報を届けやすい環境を整えています。
両事例に共通する成果は、来訪者が自分で情報を確認し、行動しやすい導線を整えたことです。結果として、問い合わせ対応や案内業務の負担を抑えながら、予約数の増加や施設内の回遊促進、より迅速な情報発信につながる仕組みを構築できました。
今回のシステム開発で特に重視したポイントは何ですか?
今回のシステム開発で特に重視したポイントは以下の3点です。
1. 利用者が自分で目的を達成できる導線設計
来訪者がスタッフに尋ねなくても、予約や目的地への移動といった目的を自分で達成できることを重視しました。来訪者の負担やストレスを減らすことで、結果として、予約や施設利用における機会損失の削減にもつながるためです。
2. 現場が無理なく運用・更新できる仕組みの設計
情報更新や料金計算などの作業をできる限り仕組み化し、現場スタッフの負担を減らすことを重視しました。来訪者向けの使いやすさと、運営側の運用しやすさを「セット」で設計しました。
3. フロントエンドからバックエンド機能・インフラまで一貫して対応
宿泊料金の計算ロジックやCMS、サイネージの表示制御などを実現するには、UI・UXだけでなく、バックエンドやインフラまで含めた設計・開発が必要です。BALANCeはフロントエンド、バックエンド、インフラまでを自社内で開発し、さらにプロジェクトマネジメントまで一貫して対応します。
サイネージ事例では設営までを担っており、「設計・開発・運用設計・現場導入」をスムーズに進められることを重視して支援しました。
顧客接点をデジタル化することのメリットと注意点とは
顧客接点のデジタル化のメリットを教えてください

予約や案内をデジタル化することで、主に「現場スタッフの対応負担を軽減すること」と「予約・回遊機会の取りこぼしを減らすこと」につながります。
現場スタッフの対応負担を軽減する
問い合わせ対応・案内業務・情報更新といった、これまでスタッフが都度対応していた作業を仕組みに置き換えられます。人手が限られている施設や店舗でも、現場スタッフの負担を抑えながら運用しやすくなります。
予約・回遊機会の取りこぼしを減らす
予約前に料金を確認できる導線や、施設内で目的地を探しやすい案内環境を整えることで、来訪者が途中で離脱しにくくなります。予約完了や施設内の回遊につながる機会を広げられる点もメリットです。
顧客接点のデジタル化はどのようなケースに効果的ですか?

予約や案内のデジタル化は、次のような施設・サービスで効果を発揮しやすいです。
人手が限られ、問い合わせ対応や案内業務の負担を減らしたい場合
問い合わせ・案内・予約対応が現場スタッフの負担になっている事業者にとって、来訪者が自分で必要な情報を確認し、そのまま予約できる仕組みは、運用負担の軽減につながります。
情報の更新頻度が高く、アナログ運用のコストが大きい場合
イベント情報や営業案内など、頻繁に差し替えが発生する情報を扱う施設では、即時更新できる仕組みを導入するメリットを得やすいでしょう。
多言語・インバウンド対応が必要な場合
紙では対応しにくい多言語案内も、デジタル化によって表示を切り替えやすくなります。来訪者層が多様な施設ほど、相性のよい施策です。
効果の出るシステムと効果の出ないシステムの違いは何ですか?
最大の違いは、「課題を起点に導線と運用まで設計されているか」です。
効果が出にくいのは、紙の案内や既存の業務フローを、そのままデジタルに置き換えただけのシステムです。見た目はデジタルになっても、来訪者が目的を達成できる導線が整っていなかったり、運営側の更新が結局アナログのままだったりすると、十分な効果は得られません。
効果が出やすいのは、離脱・問い合わせ・案内・更新負担といった具体的な課題を起点に、来訪者側の導線と運営側の運用を一体で設計したシステムです。アルマガーデンドッグスの「費用を確認して予約まで進められる導線」や、商業施設の「即時更新できる多言語サイネージ」は、まさにこの考え方で設計しています。
顧客接点をデジタル化する際の注意点は何ですか?
注意すべきは、「導入して終わり」にしないことです。デジタル化は、利用者の行動や運営フローの改善につながって初めて、十分な導入効果を得られます。。そのため、導入時には来訪者側の使いやすさと運営側の運用しやすさの両方を検証し、導入後も実際の利用状況を見ながら改善していく前提で設計することが重要です。
また、情報更新やコンテンツ管理を誰がどう担うのかという運用体制を、開発段階から織り込んでおくことも欠かせません。運用体制を曖昧にすると、せっかくのデジタル化が現場スタッフの新たな運用負担になってしまいます。
顧客接点をデジタル化する方法とは
顧客接点のデジタル化にはどのような方法がありますか?
今回の事例では、予約サイトのCMS・予約機能の刷新と、フロアマップに連動したデジタルサイネージを導入しました。ほかにも、店舗検索機能、多言語表示、セルフ受付、情報更新用の管理画面など、施設やサービスの課題に応じてさまざまな方法があります。
重要なのは「何を導入するか」より「どの課題を、どの導線で解決するか」です。同じサイネージでも、検索性・即時更新性・多言語表示のどれを重視するかで設計は変わります。施設やサービスごとの課題に合わせて手段を選ぶことが、導入効果を左右します。
顧客接点のデジタル化はどのようなプロセスで進めますか?
おおまかな流れは次のとおりです。
- ヒアリング・課題整理:どこで離脱・問い合わせ・更新負荷が発生しているかを特定します。
- 要件定義・導線設計:来訪者が自己完結できる導線と、運営側の運用フローを一体で設計します。
- UI・UX設計/開発:フロント表現、バックエンド機能、インフラまでを含めて構築します。
- 導入・設営:システムの公開や、デジタルサイネージの設置まで対応します。
- 運用設計・改善:更新体制を整え、公開後の利用状況に応じて改善します。
対応範囲や開発規模は、予約機能、CMS、多言語対応、サイネージ設営の有無などによって変わります。まずは、どの接点で離脱や問い合わせが発生しているのかを整理し、必要な機能を絞り込むことが大切です。
BALANCeでは顧客接点のデジタル化をどこまで支援できますか?
BALANCeは、フロントの表現、バックエンドの機能、インフラ構築に加え、プロジェクトマネジメントまで一貫して対応できます。デジタルサイネージのように、システム開発だけでなく、現場での設営まで含めて支援できる点も強みです。
サイトのデザインや機能開発だけで工程を分断するのではなく、課題整理から導線設計、開発、現場導入、その後の運用改善までを通して伴走できます。来訪者の体験と運営側の運用を切り離さずに設計することで、利用者にとって使いやすく、現場が継続的に運用しやすい形で顧客接点のデジタル化を進められます。
まとめ
紙での案内や電話中心の予約対応が続くと、来訪者が必要な情報にたどり着きにくくなり、問い合わせ対応や案内業務が現場スタッフの負担になることがあります。
今回の2つの事例で大切にしたのは、来訪者が自分で情報を確認し、予約や施設内の移動をスムーズに進められる導線を整えることです。あわせて、運営側が無理なく情報を管理・更新できる仕組みにすることも重視しました。
予約サイトの刷新やデジタルサイネージの導入は、現場の対応負担を抑えながら、予約機会の損失を減らし、施設内の回遊促進や迅速な情報発信につなげる手段になります。
BALANCeでは、フロント表現からバックエンド機能、インフラ構築、現場導入まで一気通貫で支援できます。予約や施設案内のデジタル化をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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