“学びながら楽しむ”体験を実現|デジタルサイネージを活用したゲーム制作の裏側
デジタルサイネージコンテンツは、商業施設や店舗の顧客満足度向上のために多くの企業が導入しています。また、デジタルサイネージにゲームコンテンツを用いる事例も増えてきています。今回、弊社は大手アミューズメント施設でデジタルサイネージを活用したゲームコンテンツの開発・導入を行いました。
今回のシステム開発では、デジタルサイネージを活用したゲームコンテンツの開発と、デジタルサイネージの準備と現場設営、運用マニュアルの作成を株式会社BALANCeが支援いたしました。
本案件を担当した株式会社BALANCe 代表取締役 藤井宗一郎にインタビューし、取り組みの内容を振り返ります。
大手アミューズメント施設でのデジタルサイネージ活用事例について教えてください

自然をテーマとしたアミューズメント施設「ちきゅうのにわ」にて、デジタルサイネージで来場者が体験できるゲームコンテンツの企画・制作・設営を担当しました。開発視点でのアイデア出しから参加し、技術的に実現可能かどうかを短期間で検証。その後、常設運用を前提とした機器・システムを選定し、設営・運用まで一貫して対応しました。
現在も安定して稼働中で、来場者に継続的な体験を提供しています。数字としての成果は今後の蓄積していくことになりますが、施設側からは「実験的なスペースに最適な形で新しいコンテンツを提供できた」と評価をいただいています。
ゲームを遊べるデジタルサイネージコンテンツはどのような背景で導入されたのですか?
今回の制作の目的は、知育要素と楽しめる要素の両方を兼ね備えたコンテンツを提供することでした。
単なる遊びではなく、来場者が「学びながら楽しむ」体験を得られるようにすることで、施設の特徴に合ったアトラクションにすることを狙いました。
- 知育要素:水中の生き物について知識を深められる内容
- エンタメ要素:ゲームとしての面白さやインタラクションを通じた楽しさ
- 総合的な体験価値:学びと遊びを同時に満たし、リピーターを増やす仕組み
遊具だけではなく、デジタルならではの演出を取り入れることで、教育的要素とエンタメ要素を両立できると考えたためです。
施設側は「デジタルサイネージコンテンツを開発・設営・運用まで提供できる会社の知見」がなく、企画初期から一緒に伴走できるパートナーを必要としていました。
デジタルサイネージコンテンツを活用したゲームコンテンツの魅力はなんですか?
物理的なスペースを取らずに、多様な体験を提供できる点がデジタルサイネージを活用したゲームコンテンツの魅力です。映像・インタラクション・センサー技術を組み合わせれば、リアル遊具に負けない没入感を演出できます。
来場者の滞在時間の延長、リピート利用の促進、学びとエンタメの融合による満足度向上などが期待できます。
実際に、商業施設のキッズコーナーにデジタルサイネージを活用したゲームコンテンツを設置したことで、親子の滞在時間と満足度が向上し、施設の集客力、回遊性が向上した事例もあります。
商業施設・テーマパーク・教育施設・観光施設など「来場者の体験価値」を高めたい業界とは特に親和性が高いです。
デジタルサイネージコンテンツを設置するまでの過程はどのように進むのですか?
デジタルサイネージコンテンツは、以下のような過程で制作・設置されます。
・企画段階でのアイデア出し
・技術的な実現可否の検証(短期間でのPoC)
・コンテンツ企画・仕様決定
・開発・デザイン制作
・機器選定・設営
・運用マニュアル整備・引き渡し
・運用・管理
| 順番 | 項目 | BALANCeの対応内容 | クライアントの対応内容 |
| 1 | 企画段階でのアイデア出し | ・キックオフミーティング実施、目的・ターゲットヒアリング ・参考サイト/競合分析、ベンチマーク提示・アイデア出し(構成案、機能案、演出案) ・企画案のラフスケッチ/ワイヤーフレーム提示 | ・事業背景/課題/ゴール の整理 ・ブランド方針の提示・社内関係者の意見取りまとめ/レビュー |
| 2 | 技術的な実現可否の検証(短期間でのPoC) | ・要件を整理して、実現可否、技術リスクの洗い出し ・短期間でのPoC(プロトタイプ)設計・開発・検証・検証結果を踏まえた技術仕様/構成案提示 | ・PoC検証に必要な環境(アクセス、データ、関係者)を提供・検証結果のレビュー ・社内外調整/フィードバック |
| 3 | コンテンツ企画・仕様決定 | ・サイト構成/企画/機能仕様/UI仕様/デザイン仕様の策定 ・コンテンツ方針の提案 | ・コンテンツ(テキスト、画像、素材)提供準備 ・社内承認プロセス実施(ブランド、法務、リスク等) |
| 4 | 開発・デザイン制作 | ・デザイン(UI/UX)制作、クライアントレビュー対応 ・フロントエンド/バックエンド開発、機能実装、動作確認 ・ブラウザ/デバイス対応、品質保証テスト | ・デザイン案、開発途中成果のレビュー・フィードバック ・内部関係者との仕様確認、承認 |
| 5 | 機器選定・設営 | ・環境構築(サーバ・CMS/その他必要システム)提案、導入 ・必要機器(モニター、タッチパネル、IoT連携等)選定サポート ・必要機器の設置 ・セットアップ ・テスト実施 | ・必要機器の設置場所の確保 ・インフラ(電源・ネットワーク)確保 ・設置作業日に社内関係者立会/現地調整 |
| 6 | 運用マニュアル整備・引き渡し | ・運用マニュアル(操作手順・更新手順・障害対応フロー)作成 ・トレーニング実施(担当者向け) ・引き渡し後フォローアップの体制提示 | ・担当者の選定 ・トレーニング参加 ・マニュアル内容の確認 ・承認 ・運用体制(担当者/役割/ルール)整備 |
| 7 | 運用・管理 | ・保守 ・監視サービス(バグ修正/機能改善/アクセス分析)提案 ・定期レポーティング ・改善提案 ・必要に応じて追加開発/機能拡張支援 | ・運用担当者が日常更新 ・コンテンツ運用を実施 ・レポート確認 ・改善提案への意思決定 ・運用改善に向けた社内施策実行 |
今回のゲームはどのように企画されたのですか?

「実験的スペースに遊具を」という話から始まり、「水の中の生き物を知る」教育的テーマを付加し、インタラクティブに楽しめる形で企画しました。
企画するなかで意識したポイントはなんですか?
デジタルサイネージを活用したゲームコンテンツを企画する際に意識したポイントは大きく分けて「設置スペースのコンセプトに合っているか?」と「企画が盛り上がるか。盛り上がりを表現できるか。」のふたつです。
デジタルサイネージは物理的なスペースに設置するため、この空間に置いても違和感のないようにすることが重要です。空間に違和感のあるサイネージ画面やコンテンツで設置すると、その空間のコンセプトが崩れてしまいます。
また、その空間のコンセプトを表現できるようなコンテンツを設置することで、施設を訪れた来場者はその施設の世界観やブランドをより深く理解でき、空間を楽しめるようになるでしょう。
そして、デジタルサイネージでのゲームコンテンツは、空間を盛り上げられることも特徴です。リアルタイムで対戦できたり、ゲーム結果をSNS上で拡散できるようにすることで、施設の集客につながります。
ゲームを盛り上げるような音楽やランキング要素、コメント機能などを効果的に活用することで、空間を盛り上げられます。
デジタルサイネージを企画する際には、その空間がどのような場所なのかを把握し、その場を盛り上げられるようなコンテンツを企画するようにしています。
今回のゲームコンテンツはどのように制作されたのですか?
企画段階から参加し、細かい動きや演出を調整しながら開発しました。施設スタッフが安心して運用できるように、現地マニュアルも作成しています。
特に、以下のような点を意識して制作しました。
- 生き物の動きの自然さにこだわったアニメーション
- 常設を前提にしたハード・システム選定
- 現地の設営環境に合わせた柔軟な調整
制作中、クライアントとはどのようにコミュニケーションを取って進めていたのですか?
制作中は、都度のメッセージでのやりとりに加え、定期的にミーティングの時間を設けて制作物の方向性や品質の確認、進捗共有などを実施。ミーティングミーティングの頻度は毎週や隔週など、その時期の必要性に応じて調整しており、MTGで直接コミュニケーションをとりながら制作物の方向性や内容、進め方を調整しています。
デジタルサイネージコンテンツは制作後に運用が始まるため、納品後3ヶ月程度は必要に応じてミーティングを行います。運用補助という形でそれ以降も継続してサポートを実施する場合もあります。
実際に設置してみてユーザーから要望が上がった点や、調整が必要な点などについても調整内容をすり合わせながらシステム改善を行うことも重要です。
デジタルサイネージのゲームコンテンツを制作するうえで難しい点は何ですか?
デジタルサイネージのゲームコンテンツを制作するには、企画、制作、運用と、異なるスキルと体制が必要となります。以下のような悩みをうかがうことが多いです。
「企画のアイデアが思い浮かばない」
「アイデアはあるが、技術的に可能か判断できない」
「運用まで考えた機器選定ができない」
「現場設営に対応できる制作会社が少ない」
デジタルサイネージでのゲームコンテンツを活用するには、技術・運用・企画の3つを同時に考える必要があるため、それぞれに伴走できるパートナーが不可欠です。
ゲームコンテンツの企画アイデアが思いついたとしても、経験がなければ魅力的なゲームコンテンツを作るのは難しいでしょう。また、それをデジタルサイネージで設置するためには、現場でのネットワークの設定・機器の購入・ディスプレイの手配など、さまざまな工数がかかります。
弊社では、社内担当者だけでは対応が難しいこれらの業務をまとめて対応することが多いです。
デジタルサイネージを活用したゲームコンテンツの今後についてどう考えていますか?
デジタルサイネージは、単なる情報掲示から「体験提供の場」へと進化しています。今後はAIやセンサーとの連動で、来場者ごとに体験が変わる「パーソナライズ型コンテンツ」や、施設内を回遊させる「デジタルスタンプラリー」との連携が拡大していくと考えています。
まとめ
今回は、「ちきゅうのにわ」でのデジタルサイネージ制作について振り返りました。デジタルサイネージは施設や設置箇所のコンセプトを表現できるデバイスです。デジタルサイネージの制作を検討している方はぜひ今回の事例を参考にしていただけますと幸いです。
弊社で制作したデジタルサイネージの事例についてはこちらでまとめています。他の事例もぜひご覧ください。